金曜日の彼女【完】

嫉妬?

それにしても…

龍太って、睫毛長いな~…肌も綺麗…それに…誰かに似てる気が―――

そっと髪を触ってみる。


「……やわらか~い…将来ハゲちゃうよ」

ふっと笑みが漏れる。

「――…ん…」

あ――目、覚めたかな。

「龍太…?」

おそるおそる声をかけてみる。

すると、ガバッと頭を起こした龍太。

「琴葉!大丈夫?」

心配してくれたのかな…。

素直に嬉しかった。

「うん…もう大丈夫」

「そっか…」

そして、握っている手に気づいたと思ったら、その手を勢いよくはずして引っ込めてしまった。

あー…別に…そのままでもよかったのにな…。

寂しくなった手を見つめ、ふと、龍太の顔を見ると。


「――…っ!りゅ、龍太!?その唇のとこ、どうしたの?」

眠っているときには気がつかなかったが、唇の左端に小さな傷があった。

さっきまではなかった…はずだよね?


「別に…なんでもない」

そう言いながらそこを袖で拭う。

「え…で、でも…さっきまでは――」

「煩い!…詮索するな!」

いつもの冷たい瞳で睨まれた。

さっきまでの優しさはもう消えていた。

「――…ごめん…もう聞かない」

結局、黙るしかない。

「…起きれるんなら…上着ここにあっから、着てから図書室に戻れ」

それだけ言うと保健室を出ていった。

優しさを見せた、と思ったら、また突き放す
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