金曜日の彼女【完】
龍太の本当の気持ちはどこにあるんだろう…。


「……」

ベッドからゆっくり起き上がるとブレザーを着て保健室を出た。

外はいつの間にかオレンジ色の空。

「え…今何時!?」

慌てて携帯の時計を確認すると6時半を指していた。

「…え、えーっ!?…私、2時間以上も寝てたの?」

日が長くなっているとはいえ、もうすぐ暗くなる。

「ヤバい!…あれ?…鞄…」

鞄を図書室に置きっぱなしなことに気がついた。

急いで図書室に戻る。

さすがにもう誰もいないよね…。

少し暗くなりかけの廊下を走った。

すると


「遅い!」


図書室の前で龍太が鞄を2つ抱えて立っている。

「あ…れ?…龍…太?」

「図書室に戻れって言っただろうが!」

「あ……そ、そうだった…ね」

そして私の鞄を持ったままスタスタと先に歩き出してしまった。


そのあとを急いで追いかける。

すると龍太の足が少しだけゆっくりになった気がした。


…もしかして…私に合わせてくれてるのかな。

一瞬、そうも思ったが、その思いはすぐに打ち消した。

龍太に限って…ね。


下駄箱で靴を履き替えたところで人影があることに気がついた。

「……慎」

「あ、あれ?沖本君?」

沖本君がゆっくりと振り向く。


「…龍太…琴葉ちゃん」


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