金曜日の彼女【完】
「あのドア開ければリビングだから」

そう促されて廊下の奥にあるドアを開けて部屋に入る。


「―――…広っ」

リビングはほとんど家具がないせいか、広い部屋をより一層広く感じさせていた。

あるのは…3人掛けのソファーとローテーブル、大きなテレビぐらい。

――――とても寂しい部屋。

そんなことを思う。

そんな空間に所在なげに立ち、落ち着かなくてキョロキョロしていると

「なにやってんだ?」

龍太が後ろから声をかけてきた。

どうやら着替えてきたみたいだった。

私服姿の龍太を初めて見る。

制服姿もかっこいいけど、私服はもっとかっこいいかも。

それから、龍太はキッチンに行くと、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、ソファーにドカっと腰を下ろした。

「…――座れば?」

そう言って自分が座ったソファーの隣を指差す。


「…う、うん」

今さらながら、図書室での出来事を思い出して、忘れていた体の火照りを感じて、自然と頬が赤くなる。


「……お前…まだ具合悪い?顔が赤いぞ?」

そう言いながらソファーから立ち上がり近づいてくる。

そして、龍太の手がそっと私のおでこに触れる――――…。
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