金曜日の彼女【完】
第5章
謎
「おはよう!琴葉」
「あ、おはよ…有紗…」
「…なにかあったわね、その顔は」
有紗に指摘されて思わず自分の顔を触った。
結局――――
あのあと、客が来ると言って追い出されるように龍太のマンションをあとにした。
あのキスは?…優しく抱きしめてくれた意味は?
なに一つわからないまま。
そして――…
電話の相手
聞こえてきた声は
間違いなく
――女の人だった。
龍太に他に彼女がいることはわかっている。
けれど、私といるときは彼女からの電話には出たことは一度もなかった。
彼女達もわかっているのか、かけてくることなど皆無に等しかった。
なのに――…
あからさまにイヤな表情をしながらも電話に出て話している。
「で?結局それが誰かはわからないのよね?」
「…うん」
昼休みになり、有紗と中庭でお弁当を食べながら金曜日の出来事を聞いてもらっている。
もちろん、電話の件だけ。
「ところでさ、琴葉。さっき妙な噂を耳にしたんだけど」
「…妙な…噂?」
「慎が竹内を殴ったって」
「――…へ!?…それって…いつ?」
「先週の金曜日らしいよ」
――私の頭の中に龍太の唇の端にあった不自然な傷が浮かんできた。
「あ、おはよ…有紗…」
「…なにかあったわね、その顔は」
有紗に指摘されて思わず自分の顔を触った。
結局――――
あのあと、客が来ると言って追い出されるように龍太のマンションをあとにした。
あのキスは?…優しく抱きしめてくれた意味は?
なに一つわからないまま。
そして――…
電話の相手
聞こえてきた声は
間違いなく
――女の人だった。
龍太に他に彼女がいることはわかっている。
けれど、私といるときは彼女からの電話には出たことは一度もなかった。
彼女達もわかっているのか、かけてくることなど皆無に等しかった。
なのに――…
あからさまにイヤな表情をしながらも電話に出て話している。
「で?結局それが誰かはわからないのよね?」
「…うん」
昼休みになり、有紗と中庭でお弁当を食べながら金曜日の出来事を聞いてもらっている。
もちろん、電話の件だけ。
「ところでさ、琴葉。さっき妙な噂を耳にしたんだけど」
「…妙な…噂?」
「慎が竹内を殴ったって」
「――…へ!?…それって…いつ?」
「先週の金曜日らしいよ」
――私の頭の中に龍太の唇の端にあった不自然な傷が浮かんできた。