金曜日の彼女【完】
「金曜日って聞いて、てっきりアンタが原因かと思ってたけど…その様子じゃなにも知らないようね」

有紗がチラッと私を見た。

「…うん」

じゃあ、あの傷は沖本君が…?…でもなんで?

気を失う前はなかった傷。気がついたときにはもうあった傷。

その間に…なにがあったのか…。

そういえば…あの日の帰り、2人の様子…おかしかった。

「…ねえ、有紗。沖本君の携帯の番号知ってる?」

「は?なに、いきなり…どうするの?」

有紗が怪訝な顔をして私を見ている。

「…うん…龍太はさ、どうせなにがあったか、なんて教えてくれないだろうし…」

「…で?だから慎?」

「…うん…ダメかな…」

「琴葉」

知りたい。それがどんな些細なことだったとしても。


有紗は食べていたお弁当を置くとブレザーのポケットから携帯を取り出した。

開いてしばらく画面を操作したきたけど、それからすぐに携帯を耳に当てた。


「―――…あー…慎?…今いい?」

沖本君と話し始めた有紗の携帯を見つめながら、あの夜の龍太の電話の相手を考えていた―――。



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