金曜日の彼女【完】
あの日、あのときの図書室での出来事。


考えてみれば――…私達3人以外は誰もいない空間。

図書室というどこよりも静かな場所。

声を抑えられていたとはいえ、少し漏れただけでも聞こえたとしても不思議ではない…。

「…そ、そっか…」

恥ずかしさで私も顔を逸らす。

「なに?どういうこと?」

有紗はなにがなんだかわからない、という顔をして私達2人を交互に見ている。

「……でも…どうして…沖本君が…龍太を…殴るの?」

だって…沖本君にはなんの関係もないことだよね?

「…なんとなく…腹が立って…」

フッと寂しそうに微笑んで見せる。

「アイツの身勝手なんて…いつものことなのにな…」

そう言って頭をポリポリと掻いた。

そうだよ…いつものことだよ?あれが沖本君が知ってる裏の顔の龍太のはずでしょ?


「ちょっと!いったいなにがあったわけ?」



―――…私は有紗に包み隠さず全てを話した。じゃないと今にも沖本君に飛びかかりそうな勢いだったから。

でも。

「アイツ!殴ってやる!」

拳を突き立て今にも飛び出しそうな有紗を慌てて慎と2人で止めたのは言うまでもない……。


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