金曜日の彼女【完】
有紗の言う通り。

優しくされて、でも突き放されて、それでも好きで

些細なことが嬉しくて

好きになってしまった私の方の負け…。

どんなにひどい言葉を言われようが、どんなに冷たくされようが

今、私1人だけの龍太じゃないとしても

私はずっと、龍太の傍で龍太だけを思ってる。

そう信じていたんだよ。




そして、また金曜日はやってくる。

私だけの龍太になる日…。


―――…突然鳴った携帯。


それは金曜日だけのささやかな願いをいとも簡単に壊した―――…


≪金曜日は会えない。図書室にも行かない。≫

それだけしか書かれていないどこか無機質にも感じるメール。


…どうして?

訊きたいのに訊けない。

そう、好きになってしまったから、束縛も詮索もできないから



……――嫌われたくなかったから。


< 77 / 359 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop