金曜日の彼女【完】
電車に乗ってからも、沖本君はどこに行くとも言わないまま。

もう一時間近く乗っただろうか…。

外の景色がずいぶん変わってきた、と感じていた。

「琴葉ちゃん、次で降りるよ」

隣に座っていた彼が立ち上がって声をかけてきた。

「…うん」

一気に不安と緊張が押し寄せてくる。

ここに龍太のどんな秘密があるのだろうか。

電車を降りて駅を出たところで、私はふと、なぜかとても懐かしさを感じた。

「……?」

ここって……



「――…琴葉ちゃん?どうした?」

「……うん。私、前にここに来たことがあるような気がして…」

「そうなの?…まあ普通に遊園地とか、動物園とかもあるし、小さい頃に来た…とか」

「んー…かなぁ」


なんとなく納得できない気もしたけれど、今はそれどころじゃないし…。



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