金曜日の彼女【完】
「琴葉ちゃん、行こうか」

沖本君に促されて歩き出す。

「…どこに行くの?」

「ごめん、もうちょっと先なんだ」

いったい、どこへ行くんだろう。



――…やっぱり私、ここ来たことある。

街並みや風景のどこかしら断片的だけれども見覚えはあった。

だけど、それ以上は思い出せない。


―――…「着いたよ」

沖本君の言葉にハッとする。

「…え、あの…」

「今は…ここに龍太はいるはず」


―――…ここ?


目の前にあるのは

ごく普通の

「…コンビニ…だよね」

「うん」

龍太は…ここでなにを?

「いないなあ」

沖本君が外から店内を覗いて、いるはずの龍太の姿を捜している。

「沖本君?龍太はここでなにをしてるの?」

「アイツはここで――…あっ、出てきた」

「え?―――」

――視線の先には、コンビニの制服を着た龍太が立っていた。


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