金曜日の彼女【完】
「バイ…ト?」

龍太が慣れた手つきでレジや商品の陳列をしている。

「うん――…で、ここは1つ目」

「1つ目!?」

「ここは午前中までで、このあとはラーメン屋。で、夜はレストランの皿洗い。土日はいつもそう」


いまいち状況を飲み込めない私に、彼はさらに

「実は、他の曜日も夜遅くまで別のレストランで皿洗いのバイトしてる」

「えぇ!?」

他の曜日って…彼女達は?

私の聞きたいことがわかったのか…

「…もちろん…彼女たちとは会ったあとで…」

そう気まずそうに答えた。

「あ、ああ…そう…なんだ」

もしかしたら、他に彼女なんていないんじゃないか…なんて、甘かった。

「…で、でも!なんで?」

どうして龍太はそんなにバイトをする必要があるの?

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