金曜日の彼女【完】
学校での龍太は、勉強でもスポーツでもなんでも完璧にこなしながら、でも誰にでも笑顔で接して、優しくて

だけど、学校を一歩出ると、冷酷で、残忍で、どこか冷めた瞳で皮肉げに唇の端を上げて笑う。

――…今、目の前で汗水垂らして働く龍太は、そのどちらにも当てはまらない。

一番違うのは――…


店の人達やお客さんと話しながら笑う龍太――

本当に楽しそうに――…心の底から笑っている。


あれは、龍太の本当の――…


笑顔だ。


―――――…


「沖本君…帰ろう」

「えっ!?帰るの?」

「――…うん」



私は―――…

嫉妬していた。

あの笑顔を向けてもらえる人達に。


――…他に彼女がいても構わないというくらい龍太を好きになっていた。

だけど―――


もし、もしもあの笑顔を他の彼女の誰かに見せているとしたら―――…


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