金曜日の彼女【完】
「アイツが…誰と付き合ってもキスはしないって話…聞いたことがあった。あんな…曜日ごとに違う彼女をもってても…その誰ともしたことがないって…」

…ホントに誰ともしないんだ…。

正直、ホッとしている私。


「だから…もし、アイツがキスすることがあったら…龍太が…本気で好きになった子だろうって…」

「…本気…?」

そんな…わけない…。

「あのね?琴葉ちゃん…。アイツが誰ともキスしないのは…一つには…ずっと忘れられない子がいるから」

「―――…え?」

忘れられない子?

「初恋…なんだって…龍太の」

「は、初恋!?」

「…うん」

忘れられない初恋の女の子。

「なんかさ…約束だから…みたいなこと…言ってた気がする」


約束…―――

その言葉に私は微かに反応してしまった。

遠い記憶―――…。



「それと…もう一つ…」

沖本君の言葉にハッとする。

「……もう…一つ?」

「うん…龍太はもともとはあんなんじゃなかった…」

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