金曜日の彼女【完】
あの日―――…

“キスはしない…”

そう言われた日だ。

だけど…

そんなことで、龍太が私を好きかどうかなんて…

誰にもわからない。

龍太の心の中なんて、わかるはずないんだから―――…。




「あの日、見た龍太の顔は忘れないよ」

「龍太の?」

「うん…あれはどうみても…好きな人に向ける目だった…愛しそうな…」

「嘘!そんなの嘘よ!」

信じられないよ…。


「特別なんだよ、龍太にとって、琴葉ちゃんは…」

「そんなことない!」

止まっていた涙がまた溢れ出す。

私はいったい龍太のなに?

忘れられない初恋の子って…?


「琴葉ちゃん…」

沖本君の声が耳元で響いた。


「―――…え!?」

気がついたら私は彼の腕の中にいた。


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