金曜日の彼女【完】
―慎side―



「――…はぁ…」

なにやってんだ、俺は。

思わずぶちまけてしまった。

言わないつもりだった。

龍太のことで、悩んで、傷ついて、泣いて、そんな彼女を見ていられなかった。

それなのに―――

俺はもっと彼女を傷つけてしまったんだ。



――…初めて会ったときから惹かれていた。

だけど、彼女は龍太と付き合い始めた。

ショックだった。

まさか、龍太が同じ学校の子と付き合うなんて思ってもいなかったし。

だから――余計に気になった。

龍太の金曜日の彼女――戸田 琴葉のことが。

――…龍太はもう金曜日に彼女を作るつもりはなかったはず。

アイツは、1日でも早く金を貯めて、マンションを出たがっていた。

だから金曜日の元カノと別れてからしばらくして、その時間にバイトを入れた。

なのに―――そのバイトを断ってまで彼女と付き合う理由…。


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