金曜日の彼女【完】

消えた龍太

家に着いた頃には、もう空はすっかり暗闇に包まれていた。

星や月さえ出ていない今日の空は、より一層、私の心を暗くした。



―――突然、告げられた別れの言葉。

送ってくれた沖本君にはなにも言わずに家に入った。

今は、彼と話したくなかった。

なにか言葉を発すればきっと責めてしまう。

彼のせいじゃない。わかっていても。





食事も喉を通らず、家族の心配する声さえも無視して、部屋に閉じこもり、携帯を手にした。

今――まだ、今なら、もしかしたらもう一度やり直せる?

淡い期待を抱いて通話を押す。

トゥルルル―…トゥルルル―…


何度目かのコール音のあとに流れてきた、機械的な音声。

≪おかけになった電話は現在電源を―…≫…


携帯を床にほおり投げてベッドに横になる。

ベッドの側にある窓を開け、外を見た。

――…雨。


シトシトと降りだした雨…。


涙の出ない私の代わりに泣いているように、空から次から次へと滴が落ちてくる。


その夜はそのまま――眠りについた。



次の日の朝――


けたたましく鳴り響く携帯の着信音で目を覚ました。


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