初恋
臨時マネージャー
side沙奈
彼と出会ったのは、
新しい学校生活にも慣れてきた暑い夏の頃の事だった。
「あたしが、サッカー部のマネージャー?」
「そ!マネージャーの2人の内1人辞めちゃってよー!!
沙奈、やってくんない!?」
あたし相沢沙奈(アイザワサナ)は1つ上の兄、相沢裕大(アイザワユウダイ)にサッカー部のマネージャーになってくれと頼まれていた。
「いきなりクラスに来て何言うかと思ったら・・・・
無理!絶対無理!!」
「なぁぁんで!?兄ちゃんがこんなに頼んでいるというのに!!」
「だって、マネージャーって何するか分からないし、
スコアブックの付け方だって知らないし・・・」
「だぁーいじょうぶ!俺が教える!!全部教えっから!!なっ、なっっ!?」
お兄ちゃんは子犬のような顔をしながらあたしに手を合わせている。
そんな顔してもやらないし、
お願いだから諦めてよ・・・
「お前なぁ・・・理由も大雑把だし、
いきなりそんな事言っても困るだけだろ・・・」
「だってよぉ・・・じゃ、悼矢からも言ってくれよ・・・」
悼、矢・・・?
この時初めて彼にあった瞬間だった。
「つーか!お前が辞めさせちゃったみたいなもんじゃんか!
夏合宿も近いつうのによ!」
「あれは、向こうがいけないべ!?」
辞めさせちゃった・・・?
向こうがいけない・・・?
全く話がつかめない。
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