初恋
「待たせたー!!」
「ちょ、もう夜だよ!静かにしないと近所迷惑っ・・・」
「だよなー、もっと言ってやって沙奈ちゃん」
とっ、悼矢さん・・・!!
―ドキ・・・―
「まぁまぁ、それが裕大の取り柄なんだから、それを注意しちゃ何も残らないって笑」
「それもそーだ。笑」
渡邊先輩と悼矢さんが笑いながら言う。
「お前ら最悪!もー行こうぜ!」
プンプン怒りながらあたしの手を引っ張るお兄ちゃん。
お兄ちゃん、女の子みたいだよ・・・
「悪かったって・・・」
「そんなに怒らなくてもさぁ・・・」
「付いてくんな!俺は沙奈と2人で帰るんだ!」
そういいながらも結局4人で歩きながら帰る。
口では嫌だみたいなこと言っておいて、
一緒に帰るのね・・・・
歩いているときにふと今日の出来事を振り返る。
そう言えばあたし、テーピング上手く巻けなかったんだっけ。
「ねぇねぇ」
「ん、何ー?」
「あたしちょっと本屋さん寄りたい」
「本屋ぁ?別にいいけど・・・何か買いたいものあんのけ?」
「うん。先輩たちもいいです、か?」
「構わねぇよ?」
先輩たちの了承も得て、あたしは本屋に向かう。