初恋
それからすぐに練習は始まって、
裕大はいつも通りメニューをこなしていた。
ちゃんと切り替えが出来るのは有難い。
けど、俺は心配でしょうがなかった。
野球でいう、キャッチャーがピッチャーの体調とか気になるみたいな。
そして一番心配なのは、沙奈ちゃんの事。
今日、沙奈ちゃんは来ていなかった。
今まで1日も休むことなくマネージャーの仕事をしてくれていた沙奈ちゃんが、
来ていなかったんだ。
休憩時間、渡邊は俺にドリンクを持ってきた。
「悼矢!どうぞ」
「あ、サンキュ」
「・・・沙奈ちゃん、来ないね・・・」
「ん、そーだな」
「マネージャーって、選手の健康管理もしなくちゃならないのに、
連絡してこないなんて、
マネージャーとして失格だよね」
それを聞いた俺、無償に腹が立って、
渡邊が女だと分かっているのに、殴りたくなった。
合宿も、沙奈ちゃんがいたから物事がスラスラと動いたのに、
それを渡邊は何も分かってねぇ・・・
自分が教えてあげたから出来たと、
俺たちの事を1番考えてたと思ってる。
俺は違う気がした。
俺は・・・
「渡「おい、お前今なんつった!?」
その時、裕大が荒い声を出して言った。