初恋
「裕大、最近電話する機会多くね?
何かあったのかよ?」
「何かあったわけじゃねぇけど・・・
ここん所、俺たち家に帰るの遅いだろ?
沙奈が心配でさ」
「沙奈ちゃん?何で?」
裕大はドリンクを飲んで、一息付く。
「家庭の事情だよ。
お前らが心配する事じゃねぇから」
「んだよ、それー」
他人の事を詮索するのは、
あまりよくない事は分かっている。
でも、気になるものは気になる。
まぁ、話したくないから話さないんだから、
しょうがねぇけど。
「あ、裕大「悼矢~~!!」
俺が裕大に話しかけようとした時、
後ろから渡邊の声が聞こえた。
渡邊を見た瞬間、裕大の顔が変わる。
・・・?
「なした?」
「コーチ、今から用事だから後は任せるって。
で、6時には切り上げろだって」
「あ、そうなん?裕大、この後のメニュー・・・」
裕大は、険しい顔をしていた。
これまでには見た事のない表情で。
「な、何・・・んな顔してんだよ・・・?」
驚きを隠せない弘樹が裕大の肩に手を置いて言う。