初恋
何を思っているのだろうか。
すぐに思った事を言葉にするはずの裕大が
何も話さない。
「裕大・・・?」
「なぁ・・・」
俺が話しかけると、裕大はゆっくり口を開いた。
「・・・悼矢に言う前に、まず誰に言うべきか分かってる?
俺が遠くにいたならしょうがねぇよ。
けど、近くにいるなら、主将の俺に言うべきじゃねぇの?」
「ご、ごめん・・・悼矢が最初に目に入ったから・・・」
「それじゃ、しょーがねー、よな!
おい、裕大、そんな怒んなって・・・」
どうにか宥めようと努力はしたものの、
裕大の怒りはおさまらない。
誰よりも忠実で、
誰よりも人思いで。
部活になったら、真剣に取り組む。
それは、俺の憧れであり、
そうなりたいと願う。
1つでも、違う道になってしまったら、
それは裕大にとって駄目な事。
渡邊が俺にコーチの用事の事を話した事は、
裕大にとって駄目な事だった。
俺は副主将、裕大は主将。
部を一番まとめなければならない主将は裕大であり、
俺じゃない。
裕大にとって当たり前な行動が、
渡邊が出来なくて苛立ってたのか・・・。
「裕大、渡邊は悪気があってやったわけじゃないだろ?」
「んなの、俺にだって分かる。
でもさ、悼矢。俺、最近思うんだよね。」
「・・・んだよ・・・?」