初恋
亜衣は軽くため息を付く。
「まだ、悩んでるんだ?」
「ま、まぁ・・・う、ん」
そう言いながら、
あたし達はレジに向かう。
悩んでいるのか、いないのか・・・
それすら分からない。
でも本当は分かっているのに、
無理矢理分かっていない振りして。
周りを困らせて、
心配させて。
悼矢さんの事を好きなのかなと頭の中で考えると、
自分の頭は拒否反応を出す。
「・・・ほい」
「あ、ありがとう」
さっき買ったパピコを渡されて、
あたしは亜衣と半分ずつ食べることにした。
2人で荷物を一緒に持って
何も喋らず黙々とアイスを食べる。
『・・・恋だよ。そんだけあんたの心の中に、
頭の中に三浦先輩がいるってことは、
恋なんだよ。』
あたしは、亜衣にそう言われた。
頭の中に悼矢さんがいるって事は、恋なんだって。
でもそれが、悼矢さんじゃない他の人だったら?
悼矢さんじゃない人だったら、
あたしはこんなに考えていたのかな?
悼矢さんだから、考えてるわけじゃないの、かな?