初恋
『ご飯は、そんなに気にする事ないよ。
上手いもんなら何でも食うし。
マネジの仕事もいつも通りやればいいって。』
あの時の笑顔に、あたしは心を奪われた。
『何処が分からねぇの?』
スコアブックの書き方が分からなくて
教えてもらうことになったとき、
ノートを覗きこんでいる悼矢さんの仕草が、
あたしの心をおかしくさせた。
あたしは、悼矢さんに心を奪われていたってこと、なの?
全身の力が抜けて、あたしはその場に座ってしまう。
あたしは・・・ずっと・・・
ずっと・・・好きだったの・・・?
違う・・・違う・・・っ
悼矢さんの事は、憧れだった。
アイドルみたいな存在で、
こうなりたいなぁっていう願望みたいなもので。
好きじゃなくて・・・憧れなんだ、よ・・・
「好きなんかじゃ・・・」