初恋
「分かってくれたみてぇじゃん?笑」
「悪ぃ・・・司令塔だった事、
すっかり忘れてたわ・・・」
「気づきゃぁいいよ。
後半は逆転すんだもんな?」
「・・・ったりめぇよ!」
裕大はそんな俺を見て笑顔で答える。
「さっすが、悼矢」
後半戦。
俺たちは1年に反撃を始めた。
1年より、練習量ははるかに多い。
ここで負けてたら格好すらつけられねぇ・・・
何とか1点を取れた俺たち。
試合は1対1と、同点となっていた。
エリア内に入っていく瞬間、
またあの時と同じ事が起きた。
『悼、・・・矢・・・ん・・・!!』
追い風と共に聴こえた声。
どこか安心するような、
背中を押されているようなそんな感じがした。
「悼矢―!!!」
左サイドからのパスを見てオフサイドぎりぎりの所まで走る。
その時の俺は、
何も考えていなかった。
頭が真っ白で、
ただ必死にボールを追いかけて。
気づけば俺の蹴ったボールは
ゴールネットを揺らしていた。