初恋
「入っ、た・・・?」
「逆転だよ!
逆転だよ悼矢ぁぁ!!!」
喜びを隠しきれない皆は、俺に飛びついてくる。
「お、重っ・・・」
「こんにゃろ、やってくれるじゃねぇか!!」
「いや、それは後でいいから降りてくれ・・・」
かなりの奴が俺に乗ってきていたから、
息が出来なくてしょうがなかった。
久々に感じた清々しい気持ち。
練習試合の時には感じられなった満足感が、
俺にはあった。
今回の紅白戦は2年の勝利で幕を閉じた。
「悼矢!」
帰りがけに、渡邊に声を掛けられた。
渡邊の方を振り向いたとき、
俺はおかしいんじゃないかと思った。
渡邊が、沙奈ちゃんに見えたのだ。
沙奈ちゃん!?と思った俺は、
目を擦ってもう1度見る。
でも、沙奈ちゃんじゃなく、やっぱり渡邊で。
俺・・・何考えてるんだよ・・・
沙奈ちゃんはここに来るはずなんてねぇのに・・・