初恋
***
「あら、悼矢何処か行くの?」
「あぁ、サッカー部の奴と祭り行ってくる。
夕飯いらねぇから」
「はいはい。気を付けて行くのよ?」
「おー」
俺はウォークマンで曲を聞きながら家を出る。
祭りのせいか、
俺の家の前の道は人で多かった。
うえっ・・・最悪だろ・・・
家から河原に向かっていると、
目の前で浴衣を着た奴がこっちに向かって走って来た。
そいつを凝視していると、それは渡邊だった。
「良かったぁ、すぐ見つかって・・・」
「―他の奴らは?」
「何かあれ食べたいこれ食べたいって言ってどっかいっちゃった・・・
探して合流する?」
周りを見渡せば、人、人、人。
探そうとも思わない人の数で、
逆にため息を付いてしまう。
「いいよ。探すのめんどくせぇし・・・何処行きたい?」
「え?」
「何処か行きたい場所あったから誘ったんじゃねぇのかよ?」
「・・・あたし、わたあめ食べたい!!」