初恋
side沙奈
「沙奈まだかよー??」
「もう行けるー!」
キッチンでガスの元栓を確認して、
ベランダのドアのカギを確認してから
駆け足で玄関に向かう。
本当は、夏祭りに行くから浴衣を着て行こうかと思ったけど・・・
あたしだけが浴衣だと、ね―・・・
「ごめん・・・汗」
玄関にはお兄ちゃんと准くんが立っていて
話をしながら待っていた。
「浴衣着なかったんね?」
「着ないって朝も言ったでしょ?
というか、あたしだけ着てるのも何かあれだし・・・」
「別にいいのに・・・」
お兄ちゃんは頬を膨らませながら
あたしが持っていたカバンを持つ。
「いいよ・・・カバンくらい自分で持て「いいから早く行こうぜー!!」
人の話聞いてないし・・・
こういう時のお兄ちゃんは、いつも強引なんだから。
ブーツサンダルを履いて
お兄ちゃんと准くんの後を追うように外に出る。
家の前の道は、お祭りに行く人で少し混んでいた。
しかも・・・カップルばっかりっていう・・・
イチャイチャしているカップルがあたし達の前に居て、目のやり場に困る。
外でもこんな事するなんて有り得ない・・・