初恋
あたしはあまり信じたくなかった。
人混みから抜けて人通りが少ない所に出る。
「悼矢にとって欲しいの!」
やっぱり・・・
金魚すくいの屋台の所に悼矢さんと渡邊先輩の姿が。
こんな所で会うなんて・・・
あたしは放心状態で体が動かない。
どうしよう・・・
逃げたいのに、
逃げられない。
―ドン!―
「あ・・・」
「気を付けろ!!」
歩いている人とぶつかって倒れ込む。
それと同時にさっき買ったばかりのリンゴ飴が
地面に落ちてしまった。
―せっかく・・・せっかく買ったの、に・・・
せっかく・・・
「悼矢、お願い!お願ぁい!」
「・・・ったく・・・」
止めて・・・
止めて、
止めて、
止めて!!