初恋
ん?
合宿所に向かっている最中、
悼矢さんの話をしている人とすれ違った。
悼矢さん・・・やっぱりモテるんだ。
「彼女が羨ましいよねぇ。あんなに格好良い人と恋出来てさ」
「だよね。うち等もあぁゆー彼氏欲しいよ」
彼、女・・・
悼矢さんに彼女がいるの・・・??
―ズキンッ―
いやいやっ、本人が言ってるわけじゃないし。
あたし・・・悼矢さんに彼女がいるって今聞いた時、何考えた・・・?
がっくりしたような、
心が酷く苦しくなったというか・・・
な、何かの間違いだよね?
あたし別に、悼矢さんの事別好きじゃないし・・・
ただ、少しだけ気になっちゃっただけだよ。
今は胸の痛みも感じなくなったし、
気のせい、
気のせい。
それでもあたしは、何故か心が沈んでいた。
「あ!沙奈ちゃんこんな所にいた!」
後ろから渡邊先輩の声が聞こえてあたしは振り向く。
「もぉ、早く掃除しないと今日中に終わらないよ!?」
「す、すいません!今行きます!!」
あたしは走って渡邊先輩の所に行く。
「急ご!先生も待ってるだろうから」
「はい!」