初恋
あたしが悼矢さんの全てを大切だって思うのは全部恋。
“好き”だって証拠―
あたしはそれを気付かない振りをしてた。
「好、き・・・」
やっとその事に気づいても、もう遅い。
「あ、いた!!沙奈ー!!」
遠くからお兄ちゃんの声が聞こえた。
―ヒュー・・・ドーン!!―
お祭りの目玉と言える花火が上がった。
花火は空を綺麗に輝かせて、
皆の目を引きつけていたけど・・・
あたしは違かった。
10メートルくらい前に居る悼矢さんが
あたしの中で1番輝いてたの。
これでもかって言うくらいに、
悼矢さんの周りにキラキラが沢山見えたの。
ここにあたしはいる、
こっちを向いてほしい。
けど・・・気付いてほしくない。
その2つの気持ちが半分ずつある。
渡邊先輩と仲良く楽しく金魚すくいをしている姿は、
あたしの心を痛めつけた。
「沙奈・・・!」