初恋
あたしの気持ちは、
この気持ちは、
誰にも知られたくない。
知られたら困る。
「う、うん・・・
リンゴ、飴・・・落としちゃっ、て」
「じゃぁ買いに行くか?
兄ちゃん1番でかいの買っちゃる!」
「ありが、と。准くんも、ありがとう」
「いいって。裕大買ってくれっからもう泣くなよ?」
「へへ・・・うん」
それから悼矢さんの事を
出来るだけ考えないように色んな屋台を回って
今を楽しもうと頑張った。
せっかく准くんが誘ってくれたのに、
あたしのせいでつまらなくなるのは嫌だもん。
お兄ちゃんだって、最近悩み事があるし、
あたしの事まで悩ませたくない。
リンゴ飴の大きいのをお兄ちゃんは2つ買ってくれた。
それでも、あしの心は晴れる事はなかった。