初恋
「沙奈!早く、早く!」
「待ってよー!
これでも急いでるんだってばー!」
あたしの荷物を肩にかけてダッシュするお兄ちゃん。
あたしはそれに着いていけずに50mくらい離れてしまっていた。
侮れない・・・現役サッカー部―・・・汗
そして、学校の近くになってくると
あたしの足は重くなっていった。
いつもと同じように走ってるのに・・・
足が、重い―・・・
頭の中では、
この状況を理解しているはずなのに、
体は理解していないみたい。
あたしは、走るのをやめて立ち止まってしまった。
「・・・沙奈っ?」
自分の後ろからついてきていない事が分かったお兄ちゃんは、
後ろを振り返る。
「・・・たし・・・やっぱ駄目・・・行けない・・・」
「え?何、で?」
息を整えながらお兄ちゃんはあたしに言う。
「だっ、て・・・」
「―行けない、理由でもあんの?」
「へ・・・?」