初恋
「みなさんお疲れ様です!
ドリンクとタオルどーぞ!」
「沙奈ちゃんあんがとー」
「沙奈ちゃん、救急箱ない?
ちょっと、さっき擦りむいてさー」
「あ、はい!すぐに持ってきますね!」
考えてみたら、休憩時間、
渡辺はいつも俺の所にいる。
俺は渡辺に渡されてっけど・・・
他の奴らは・・・?
こうやって沙奈ちゃん見たく
1人ずつ渡されていたか・・・?
前の紅白戦の時は俺が行かせた。
沙奈ちゃんが居る時は・・・
俺はあることに気付いた。
「悼矢?何そんな所、で突っ立ってんだよ?」
「あ、いや・・・ちょっと考え事?
みたいな・・・」
「はぁ?お前謎!」
こいつらが、沙奈ちゃんが居て欲しいって言う意味が
やっと理解した気がした。
俺の頭の中にあったピースが
1つの真実に変わっていく。
そして、何で裕大が渡辺に苛立ってんのかも・・・
沙奈ちゃんが来るまでは分からなかった。
自分たちが自分たちのことを自分でしているってこと。
それが当たり前になっていたんだ。