初恋



俺も分からなかった。




だけど―・・・







あいつは・・・裕大は分かっていた。





『俺さー、あいつあんま好きじゃないんだよね』

『あいつ?あいつって誰だよ』




『“渡辺美香”』



『何で?結構マネジとして頑張ってねぇ?』




『俺にはそう思えない・・・

つーか、本当にサッカーが好きで入ったのかって思う。


何かお目当ての奴がいんじゃねーかなぁ・・・』




『そんなことねぇだろ?

渡辺以外の奴は完璧そういう雰囲気で入って

先輩たちに弾かれてたじゃんか』



『んー・・・まぁ、いいけどさ。


でも俺はあいつんこと信用出来ないかも』







1年の時から言っていた。







渡辺は信用できない、って・・・



俺には裕大の気持ちがそのころは分からなかった。





先輩たちも俺と同期の奴も、

渡辺は可愛くていい奴だって言ってたから、まさか、

裕大がそんなことを言うなんて思ってもみなかった。






誰もがそう思っていたと、


そう感じていたと自分の解釈だけで理解をしていたから、

聞いたときはほんとに吃驚したのを覚えている。
















いまさらだけど・・・
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