初恋



***



練習を少し早めに切り上げて、

ミーティングをするために会議室に向かっていた。



裕大はすでにもう会議室に行っていて、

俺は准と一緒に歩いていた時、

向かいから沙奈ちゃんがでっかい箱を持って

こっちに向かってくるのを見かけた。






あんなん1人で持って・・・






「准、先に行っててくんねぇ?

忘れもんしたわ」




「おー。急げよー?」








俺は早足で沙奈ちゃんの所に向かう。




沙奈ちゃんは俺に全く気付いていなく、

懸命に箱を運んでいる。









「何で、こんな重い、のっ」








そんなことを言いながらせっせと運ぶ沙奈ちゃん。








俺は思わず笑ってしまった。







それに気づいた沙奈ちゃんが、

俺のほうに勢いよく顔をあげる。





「と、悼矢さん!?

もう、会議室に行ったんじゃ・・・!?」





「いやぁさ。

沙奈ちゃんがこんな重いもん持って歩いてんの見かけたらさ、






足が勝手に動いちゃったんだよな笑」










「え・・・?」










「俺、持つよ。それ」
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