初恋
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練習を少し早めに切り上げて、
ミーティングをするために会議室に向かっていた。
裕大はすでにもう会議室に行っていて、
俺は准と一緒に歩いていた時、
向かいから沙奈ちゃんがでっかい箱を持って
こっちに向かってくるのを見かけた。
あんなん1人で持って・・・
「准、先に行っててくんねぇ?
忘れもんしたわ」
「おー。急げよー?」
俺は早足で沙奈ちゃんの所に向かう。
沙奈ちゃんは俺に全く気付いていなく、
懸命に箱を運んでいる。
「何で、こんな重い、のっ」
そんなことを言いながらせっせと運ぶ沙奈ちゃん。
俺は思わず笑ってしまった。
それに気づいた沙奈ちゃんが、
俺のほうに勢いよく顔をあげる。
「と、悼矢さん!?
もう、会議室に行ったんじゃ・・・!?」
「いやぁさ。
沙奈ちゃんがこんな重いもん持って歩いてんの見かけたらさ、
足が勝手に動いちゃったんだよな笑」
「え・・・?」
「俺、持つよ。それ」