初恋



お兄ちゃんはいつもの調子を戻し

元気に部活に行っている。





家に帰って来ても文句も何も言わなくなった。






ちゃんと上手くいっているならそれも良かったけれど。





あたしはただ心残りが1つだけあった。










悼矢さんとそんな話すこと出来なかったな・・・









まぁ、話すために部活の手伝いに行ったわけじゃないけど―











もっと話をしておけばよかったと後悔している。






「沙奈―。お腹空いたよー泣。」


「あ、チョコレートあるよー。食べる?」




「食べる、食べる!!何のチョコ?」






「キットカットでーす♪」






机の上のキットカットを取って亜衣に渡す。






おいしそうに食べる亜衣を見て微笑ましく思う。





そういえば、あたしが作ったご飯、

みんな美味しく食べてくれてたっけ。








つい最近のことなのに、もう昔のことのように感じる。













―ピンポーン―













家のチャイム音が聞こえて

あたしは亜衣に待っててといい下に向かう。
< 181 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop