初恋
お兄ちゃんはいつもの調子を戻し
元気に部活に行っている。
家に帰って来ても文句も何も言わなくなった。
ちゃんと上手くいっているならそれも良かったけれど。
あたしはただ心残りが1つだけあった。
悼矢さんとそんな話すこと出来なかったな・・・
まぁ、話すために部活の手伝いに行ったわけじゃないけど―
もっと話をしておけばよかったと後悔している。
「沙奈―。お腹空いたよー泣。」
「あ、チョコレートあるよー。食べる?」
「食べる、食べる!!何のチョコ?」
「キットカットでーす♪」
机の上のキットカットを取って亜衣に渡す。
おいしそうに食べる亜衣を見て微笑ましく思う。
そういえば、あたしが作ったご飯、
みんな美味しく食べてくれてたっけ。
つい最近のことなのに、もう昔のことのように感じる。
―ピンポーン―
家のチャイム音が聞こえて
あたしは亜衣に待っててといい下に向かう。