初恋
―こんなにドキドキしてるのも、
会えるのを楽しみにしてるのもあたしだけかもしれない。
「あっれ、俺っち前にいんのもしかして悼矢?」
「う、うん!?」
お兄ちゃんの口から悼矢さんの名前が出るなんて
思ってもいなくあたしは吃驚して声が裏返ってしまう。
「おーい!悼矢ぁっ」
お兄ちゃんは大きな声で悼矢さんの名前を呼ぶ。
それに気づいたのか、
悼矢さんはゆっくりと後ろを向く。
「あ、」
あたし達の姿を確認して駆け寄ってくる悼矢さん。
「沙奈ちゃん、久しぶり?」
「は、はい!!
げ、げげげげ、元気でしたか!?」
緊張のあまりキョドってしまう。
は、恥ずかしい・・・
「ははっ、相変わらずだね。笑
うん、元気だよ。
沙奈ちゃんも元気そうで何より」
久しぶりに見た悼矢さんの笑顔は太陽よりも輝いていて。
あたしまで嬉しくて笑顔になる。
「悼矢!俺は!?」
「お前はほぼ毎日会ってただろ?」
「だからってなぁ・・・」
「はいはい・・・相変わらず五月蠅く・・・「だーれだ!?」
女の人の声がした。
聞き覚えのある女の人の声。