初恋





―こんなにドキドキしてるのも、



会えるのを楽しみにしてるのもあたしだけかもしれない。








「あっれ、俺っち前にいんのもしかして悼矢?」




「う、うん!?」



お兄ちゃんの口から悼矢さんの名前が出るなんて
思ってもいなくあたしは吃驚して声が裏返ってしまう。



「おーい!悼矢ぁっ」





お兄ちゃんは大きな声で悼矢さんの名前を呼ぶ。




それに気づいたのか、

悼矢さんはゆっくりと後ろを向く。









「あ、」






あたし達の姿を確認して駆け寄ってくる悼矢さん。











「沙奈ちゃん、久しぶり?」







「は、はい!!


げ、げげげげ、元気でしたか!?」






緊張のあまりキョドってしまう。






は、恥ずかしい・・・






「ははっ、相変わらずだね。笑 

うん、元気だよ。


沙奈ちゃんも元気そうで何より」





久しぶりに見た悼矢さんの笑顔は太陽よりも輝いていて。











あたしまで嬉しくて笑顔になる。






「悼矢!俺は!?」


「お前はほぼ毎日会ってただろ?」


「だからってなぁ・・・」

「はいはい・・・相変わらず五月蠅く・・・「だーれだ!?」












女の人の声がした。











聞き覚えのある女の人の声。
< 189 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop