初恋
悼矢さんはその声と同じ方向に振り返る。
そこには、渡邉先輩がいた―
「渡邉・・・」
「おはよー。裕大も、おはよー。
沙奈ちゃんも!」
「・・・はよ」
「おはよう、ございます・・・」
「珍しいじゃん、いつもこんな遅かったっけ?」
「いやぁ、ブローしてたら遅くなっちゃって・・・
悼矢に会えるかなーっても思ってたけど?笑」
「あっ、そ」
渡邉先輩の腕、悼矢さんの腕にまわっていた。
渡邉先輩の悼矢さんへのスキンシップは
前からあったはずなのに・・・
悼矢さんと渡邉先輩が前から仲良かったのも知っていたし、
全然ってわけではないけれど、
見ていられないわけではなかった。
悼矢さんに恋をするまでは―・・・
・・・あれ?
あたしはふと、
渡邊先輩が携帯につけているストラップに目がいく。
『これ部活の奴らとゲームセンターに行ってとったヒヨコなんだよ。』