初恋
***
『あんさー、俺、誘われてねぇけど?』
始業式が始まっても、
俺はその言葉がどうしても頭に残っていた。
嘘をつかれていた事にショックを受ける以前に、
そんなことで嘘をつくのがが、
全く分からない。
弘樹は誘われてないのは分かったけど、
他の奴がどうかは誘われたかどうかしらねぇみたいだし・・・
もしかしたら誘ってるかもしんねぇ。
「悼矢・・・悼矢っ」
「う、え?」
「もう終わったんだけど?
何考え事してんだよ」
知らぬ間に始業式は終わっていて、
気づいた時には裕大に声をかけられていた。
やっべ・・・考えごとし過ぎた。
「わ、悪ぃ。」
「別にー?つか、最近さお前よくボーっとしたり、
考え事してたり・・・
何かあったのかよ?
悼矢らしくねーじゃん」
「あー・・・ちょっとな」
裕大は、渡邉に夏祭りに行こうと誘われたのだろうか―・・・。