初恋
「ご、ごご、ごめんなさい!!」
沙奈ちゃんは落としてしまった教科書を拾って
バッグの中に入れようとしているけど、
急いでいるのかなかなか入らない。
俺はそんな沙奈ちゃんを見てついつい笑ってしまう。
「手伝うよ。笑」
「すいません・・・」
改めて沙奈ちゃんを見ると、
沙奈ちゃんは見ない間にまた可愛くなった気がする。
髪も少し伸びたのか・・・?
沙奈ちゃんは、落ちる髪を耳に掛ける。
その仕草を見て俺は胸のドキドキが止まらない。
やっべ・・・どうしたんだよ、俺―
「てか!沙奈ちゃん何でこんな所に?
帰ってなかったんだ?」
沈黙と、自分の胸の鼓動を隠すように俺は話をする。
すると沙奈ちゃんは俺の事を見始めた。
な、なん・・・
「さっきまで・・・図書室にいて・・・
その時に悼矢さん見かけて―」
「お、俺?」
「思いっきり水被ってたので・・・
その、何かあったのかなって」
申し訳なさそうにしている沙奈ちゃん。
別に、そんな顔しなくてもいいのに・・・
どんだけいつも、人の心配してんの。
「沙奈ちゃ、「だから、これ!!」
「え?」