初恋
「は、何で?」
「やり残してる所があるとかなんとかって・・・」
その言葉を聞いて裕大の顔が険しくなる。
「なぁ、それってまだ掃除が終わってないってことだよな?」
「う、うん・・・?」
裕大は渡邊の肩を掴む。
俺には裕大が怒っているのがすぐに分かった。
「じゃ、何でお前が制服に着替えてここにいるんだよ?
普通手伝うだろ!?」
「おい、裕大・・・!」
部室からは制服姿の皆が出てくる。
「ちょ、裕大なにやってんだよ!?」
中学から裕大と一緒にいる山本准(ヤマモトジュン)が
渡邊の肩を掴んでいる裕大を止める。
「うっせーな、俺はこいつと喋ってんだよ」
「止めろって・・・」
俺は渡邊と裕大を引き離す。
いつもならこんなになって怒らねぇのに・・・
「なぁ、言えって。黙られても俺が困る。」
「裕大・・・渡邊はこれから用事があっから手伝えなかったかも知んねぇんだからそんなに怒らなくてもいいだろ?」
「じゃぁ、何で最初にそういわねぇんだよ?
言えないことじゃないだろ?」
「それは、お前が怒ってるから言いにくかったんだよ・・・
そうだろ?」