初恋
俺に渡してきたものは、
可愛らしい水玉のハンカチだった。
ハンカチ・・・
「タオルとかじゃなくてすいません!
でも、タオル持っていないみたいだったので・・・
良かったら使ってください」
「あ、と・・・俺大丈夫「じゃないと思、って・・・悩みとか、あるんだったらきっとお
兄ちゃん聞いてくれるし・・・
それに、・・・たしもいますし」
最後の言葉が聞き取れなかった。
でも、沙奈ちゃんの精いっぱいの気持ちが、
さっきまで曇っていた俺の気持ちを晴らしてくれる。
沙奈ちゃんに会う度に何かを感じる。
嬉しくなったり、
時には切なくなったり。
今までには無かった気持ちが、
感情が込み上げてきて・・・
「悼矢!!」
「・・・渡邉」
何かを掴もうと、何かを気付きそうな時に、
俺は必ず同じ奴に邪魔される。
また・・・来てほしくない時に、来るんだよ。
「なかなか帰ってこないから・・・
あ、れ?沙奈ちゃん」
「こ、こんにちはっ・・・あっと、教科書とか拾ってくれて有難うございました!」
まだ拾い途中だった教科書を全部持って帰っていく沙奈ちゃん。
「沙奈ちゃ・・・」
俺は沙奈ちゃんを引き止めたかったけど、
沙奈ちゃんは1歩早く歩き始めていて、
俺は沙奈ちゃんを引き止めることが出来なかった。