初恋
俺と沙奈ちゃんの間が離れていくのと同時に、
俺の心はズキズキと痛む。
夏合宿の時から―
俺は俺ではなくなってきている気がしていた。
裕大には“妹”って思ってんだよ、って言われたけど。
最近、そうじゃないんでは、と思い始めてもいる。
初めての事ばかりで、これは混乱をしているのか?
「悼、矢?」
「え・・・?」
「顔赤い、よ?
夏バテしたんじゃ・・・」
渡邉が俺の額に手を近づける。
俺は触られたくなくて、渡邉の手を弾く。
「平気だから・・・触んないで」
「と「ごめん」
ポケットの中に入れていた沙奈ちゃんのハンカチ。
それを俺は強く握りしめる。
「・・・沙奈ちゃん・・・っ」