初恋
「はぁ、はぁっ・・・」
校門を出て壁にもたれかかる。
「はは・・・っ・・・
何でだろう・・・?」
走ったから苦しいんじゃない。
渡邉先輩と悼矢さんを一緒に見たから苦しいんだ。
初めから分かってたのに。
改めて、現実を突き付けられるとこんなに苦しくなるなんて・・・
「駄目なんだよ・・・無謀すぎる―」
すでに付き合っている人がいる人に恋をするのは。
・・・誰かに話したい。
そうだ、亜衣。
あたしは携帯を取り出して亜衣に電話しようと考えた。
今日、亜衣は彼氏と遊ぶって言ってたし・・・
バイトもあるんだった。
他に、
他に―
とにかく誰かと話をしたくて。
1人じゃ嫌で。
何も聞かなくてもいいから
一緒にいてくれる人は誰か考えても、
悼矢さんの顔しか浮かばない。
こんな話、出来るわけないし、
一緒に居れることなんて夢のまた夢。