初恋
サッカー部は練習試合とか予選とかで
夜遅くまで練習をするから
お兄ちゃんは帰ってくるのが遅い。
お母さんは仕事が夜勤からで、
今家に帰っても寝てるだろう。
お父さんは仕事で居ないし・・・
あたしはもう1度学校の中に入って
サッカー部が使っているグラウンドへと向かう。
サッカー部はまだ休憩が終わっていないのか
ベンチで休んでいる人がまだ何人かいた。
近くの木陰に座ってあたしは持っていた教科書を入れる。
もうちょっとここにいようかな・・・
遠くの方を見ると、
お兄ちゃんらしき人が楽しそうにみんなと話している。
いい、なぁ・・・
自分でもうマネージャーをやらないと決めたのに、
グラウンドを見ると夏休みの事を思い出してならない。
楽しかった毎日。
辛かったこともあった。
けど、みんなの笑顔があたしの心の支えになったし、
それに―
悼矢さんが近くにいた。
マネージャーをやらなくなってから、
どう接していいか分からない。
元々、お兄ちゃんが臨時でやって、
って言われるまで悼矢さんの存在すら知らなかった。
平凡に生きてきたあたしにとって、
何か自分にもやりがいのあるものが出来たと、
今本当に頼んでもらえてよかったって思ってる。