初恋
将来、何になるかとか
あんまり考えてなかったあたし。
でも、みんなと過ごして、
少しだけ自分がやりたいものが見つかった気がする。
だけど・・・
神様はそれだけをあたしにくれるんじゃなかった。
“恋”というものも、
あたしの心に芽生えさせた。
悼矢さんという人を思う、
この気持ちを・・・
神様は酷い。
だってもうすでに他の人の男の子なのに・・・
そんな人を好きにさせるんだもん。
―・・・違、う。
神様のせいじゃない、か・・・
あたしの心が、悼矢さんを選んだ。
他の人じゃなくて、悼矢さんを―
「それでも・・・
こんなに辛い気持ちばっかりなんて・・・
嫌だよ」
身を竦める。
目を瞑ると悼矢さんと渡邉先輩が
仲良く金魚すくいをしている風景が見える。
あの時2人共、楽しそうだった。