初恋
俺は渡邊の顔を見て言う
「うん・・・」
「だから、俺が手伝い行くし。あんま怒んなよ。」
その言葉を聞いて、裕大はなぁんだという顔をして
またいつもと同じ裕大に戻っていた。
一安心した俺たちはホッと一息を付く。
「・・・悪い、言いすぎたわ・・・」
「へ、平気だよ・・・!?早く言わなくて・・・ごめ、ん」
とにかく、大事にならなくて良かった・・・
こいつが怒ると、
落ち着くまでになかり時間がかかるんだよなぁ。
准は俺にひとまず安心だなとポツリと言って笑いかけてきた。
俺より長い間、裕大と一緒にいるから
裕大の事はよく知っている。
沙奈ちゃんとも何度もあった事があるらしい。
「つか、用事あんなら早く帰った方がいいんじゃねぇの?」
「あ・・・と・・・」
「俺が沙奈ちゃん所行くし。じゃ、気をつけて帰れな」
俺は渡邊にそう言って駆け足で合宿所に向かう。
「え!悼矢・・・!!」
渡邊の言葉は俺の耳には届かなかった。
その時の、渡邊の気持ちも。