初恋
沙奈ちゃんの髪・・・めっちゃ柔らけぇ。
胸の中にしまい続けている感情が、
込み上げてくる。
このまま寝かしていてもまだ夏の暑さではある。
熱中症になられても困るし・・・
俺は心惜しいが沙奈ちゃんを起こすことにした。
「おい!」
「・・・え・・・?」
驚いたのか、
下を向いていた顔が一瞬にして上がる。
周りをキョロキョロしながら、
目の前にいる俺を見て安心したのか、
目に涙をためていた。
え―・・・
初めてみる涙。
沙奈ちゃんの流す涙は何故か綺麗で。
でも辛そうでも、
苦しそうでもあって。
俺まで、心が締め付けられる。
「沙奈ちゃん・・・」
「な、何泣いてるんだろうねっ・・・うん・・・」
涙を止めようと必死で拭いているのに、
それ以上に出てくる涙。
何で泣いているのだろうか。
俺は聞きたかった。