初恋
沙奈ちゃんが下を向きながら
トボトボと歩いているのが見えた。
つーか、信号あんの気づいてねぇのかよ!?
信号を見れば、青から赤に点滅していて、
沙奈ちゃんはそれに気づかず歩いた。
「・・・沙奈ちゃん!!」
沙奈ちゃんは俺の声に全く気付いていない。
んで・・・!!
「ああ!!
・・・おい、沙奈!!」
今日という日まで1回も呼び捨てで呼んだことがなく、
自分でも呼び捨てで呼んでいる事に少しだけ驚いていた。
肩をビクッとさせて、
目の前を見ている沙奈ちゃん。
1歩後ずさりをして、
間一髪で車に轢かれずにすんだ。
沙奈ちゃんを追いかけていた俺もようやく追いつく。