初恋
side沙奈
「このくらいでいいか、な??」
綺麗にしよう、
綺麗にしようと思っているうちに
もう外は暗くなっていて。
これじゃお兄ちゃんに怒られちゃうよ・・・
でもあともう少しだし・・・
バケツに雑巾を入れて絞っている時、
暗い廊下から足音が聞こえた。
な、何・・・??
あたしは、お化けとか怖いものが嫌いで、
暗い中1人でいるのも駄目だ。
今は、部屋の電気が付いているからいいものの
こうして暗い廊下から聴こえてくる足音を聞くと、思考停止してしまう。
・・・何、泥棒!?それとも本当にお化け!?
頭の中は恐怖に包まれていた。
だんだん近づいてくる足音。
「沙奈ちゃん?」
「わぁ!!」
いきなり声を掛けられてあたしは尻もちを付いてしまう。
「ごめんなさい!本当に!!
ただ掃除をしていただけです!!
命だけは・・・!!」