初恋
「渡邊・・・」
「沙奈ちゃんもおはよう!」
「お、おはよう、ございま、す」
駄目、声が震える・・・
いつも渡邊先輩は、
会いたくないときに必ず会う人で。
渡邊先輩見ちゃうと・・・
悼矢さんと付き合ってるってことを思い出して嫌。
まだ信じたくないって思ってるのに―
それでも、噂。
噂だから付き合ってないかもしれない。
けど、今のあたしには前向きに考える余裕何てなかった。
「沙奈、お前顔真っ青」
「何で、もな、い」
「―・・・どもってる」
「体調、優れてないの?」
渡邊先輩は、優しい。
美人だし、気が利くし。
あたしが男の子だったら絶対好きになっていると思う。
こんなに全部揃ってる人、誰も嫌いに何かならないよ―
それに―
悼矢さんと一緒にいても恥ずかしくない人。
「あたし、先行く」
「おい、沙奈!!」